とある小学校。教室の掃除の時間ですが、真面目にやる子とやらない子がいます。
担任の先生は指導をする為に、やらない子の前で真面目にやる子に、〈何故掃除をするのか〉を聞きました。
「みんなの為に」
「自分達で使う所だからやって当たり前」
「やるのが普通だから」
「仕方なく」
「怒られるから」
と、いろいろですが、先生はＪ君の返答の「怒られるから」が気になりました。
先生自身では生徒を怒る事は殆ど無く、Ｊ君を怒った事など一度もありません。
理科の授業、今日はいろいろ道具を使っての実験。細かい作業に飽きてきた生徒達が遊び始める中、Ｊ君は真面目に取り組んでいます。
先生はＪ君に声を掛けました。
「Ｊ君はこういう実験が好きなんだね」
「ううん、あんまり」
「え、真剣にやっていたから」
「やらないと怒られるから」
そう言って黙々と実験を続けました。
先生は気になって、放課後Ｊ君を呼び止めて聞きました。
「Ｊ君のよく言う「怒られるから」って、誰に怒られるの？」
「………」
「誰かな」
「言いません」
「どうして？」
「怒られるから」
担任としてはもう少し詳しく知りたいのだが、頑なな生徒を前に言葉を探していると。
「先生、帰っていいですか？」
「もう少し、話してくれない？」
「怒られるから」
そう言ってＪ君は帰りました。
Ｊ君はとても真面目で良い子です。
担任の先生も、御両親の育て方が良いのだと思っていましたが、
今の時点で、少しだけわかった事は。
Ｊ君は、恐怖に支配されている。
怒られる事を回避する為に動いている。
Ｊ君を見て誰もが言う。
「親の育て方が良いのね～」
Ｊ君はとても良い子です。
良い子である理由は、
とても見えづらい。
✨👦✨ 🔍👻❔❔❔
