その日食べたい物と、時には漫画や可愛い小物などもカゴに入れている。
小学生にしては、確かにお金を持っているなと壮亮が思った時、その女の子ーー凪子が言った。
「お金って愛でしょ?」
成人している大人としてどう返すか迷っているうちにレジ前に客が立ち、誤魔化し笑いながら壮亮はこの場を去る。
店員達が聞いた話を総合すると、
長い時間一緒にいられない代わりに、学校で使用する物や洋服などは勿論、自分で自由に使えるお金も充分に与えて貰っている、という事らしい。
そして、それがお母さんの愛。
皆で話し合って、「それって寂しいんじゃない?」などという事は言わない様に決めた。
忙しい母親が、せめてもの想いで形にしている愛。
他人がとやかく言う事ではない。
一人で食べる夕食とはどういうものか。
壮亮は、苦痛だった家族との夕食を思い出す。
作法に厳しく、苦手な物も残すのを許されず、食後吐き気がしてしまう身体に合わないと思われる物も出され続けた。
今一人暮らしになって気楽に食べたい物だけ食べられる、和やかさ。
しかし、あの子は一人お弁当。
言葉にはしないが、壮亮は、[寂しいよな]と心で呟く。
(続く👻)