穴は何処にいった①
穴に落ちた。
教室の掃除が終わり道具を片付けたところで、教室の窓際の後ろの床の隅に開いた穴にすぽっと。肩から上だけ地上に出ていて絶妙なサイズの穴の広さで足を曲げると膝がぶつかる。何とか腕を地上に出して床に手を着いて身体を出そうとするが……持ち上がらない、
僕一人の力じゃ無理だ。
みんなに引っ張り出して貰って一件落着となる筈が、気付かれているのは確かで無視されてもいなくて意地悪とも違う、なのに。
「楽しそうだな」
「お前はいつでも我が道を行くタイプで羨ましいよ」
「自由に生きられるって素晴らしい」
いやいやまさか、好きでこうなっている訳無いでしょ。
(続く👻)