病室にて。
看護師は眠り続ける琉偉にいつもの様に話し掛ける。
「今日の花火大会、ここからだと少し欠けちゃうけど、璃央君も花火が見られる場所にいるらしいから、カーテン開けといてって頼まれたんだよ」
琉偉の母親は犯人扱いの誹謗中傷が続き、精神のバランスを崩し別の病院に入院中。
父親は単身赴任を理由に息子の元には来ていない。
「中学生になったら璃央君も急に身長伸びちゃって。勿論琉偉君も」
頻繁に見舞いに来る璃央、長期入院中の琉偉。
病院関係者は皆、親戚の様な気持ちで二人を見守る。
「後でカーテン閉めに来るね」
窓の向こう、マンションに少し隠されながら、上手く煙を流し、打ち上げ花火は誰かと誰かを繋ぐ。
[璃央君………]
[璃央君、もう少し待って……]
[璃央君も(花火)見てるの?]
琉偉の瞳には夜空に咲く花火が映り、
脳内には呼ぶ声と、その声の主が浮かんで、
笑っている。
(終わり)
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