砂漠の水鳥
草木を奪われて剥き出しになった大地に、
乾燥した空気が強風に化け襲い掛かり、
土埃を巻き上げる。
空と地は一つになり外気を吸い込むと喉と唇がざら付く。
視覚に頼れず僅かに薄目を開けて、それでも前後左右どちらに進めばいいかわからない。
此処は何処、私は誰。
対称がいなければ自身の存在を知るものも語るものも無い。
この世は息をしていないのか、
全てはこの地鳴りの様な風音に掻き消されているのか。
寂しい訳じゃない、愛するものはもう見送る事が出来て、後は私も消滅するだけ。
ーーーあの白い光は何だ、
横に引いた線だけの様な視界でも染み込んでくる白い輝き。
水面に浮かんでいる。
翼を広げた。
鳥なのか?
明らかに生命を誇示する大きな羽根、強風など自然界では慣れたものだとでも言う様に、土埃の中影響を受けず煌めきを放つ。
あぁそこには水があり君が生きているんだ。
そう確認出来ると自身の立つ場所も自ずと見えてくる。
本当はいない筈、凍える季節の頃だけ逢える奇跡なのに。
幻想のオアシスか?
いや、確かに君の息遣いを感じている。
羽ばたいて、最期まで光を放って。
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