脳は指令を出した。
暖房のスイッチを入れろ。
これはいくら何でも、失敗のしようが無い。
ちゃんと目で見ながら、運転ボタンをポチ。
ポチ、ポチ、ポチ。
あれ、「ピッ」と鳴って赤いランプが点かない。
力を入れて何回目かでピッ。
頭の中ではボタンを押していて、
その通り指が動いているのを目で見ていて、
それでも直ぐに反応しない。
暖房機具は壊れていない。
私だけ、直ぐに点けられない。
床に物を置いた。勿論邪魔にならない所に。
自分の部屋に、自分で置いた。そこにあると、自分がわかっていればいい。
脳は指令を出した。
置いた物を避けて通れ。
流石にわかっている。隅に寄せたから大丈夫。
ーーー頭では避けて歩いている。しかし既に数回、自分で置いた物に躓いている。
避けているのに、避けきれない。
脳は指令を出した。
台所の布巾を洗って絞れ。
いつもやっているから、……いつもの事なのに、よくそれで手首に傷を付けてしまう。
そうするつもりは無いのに、布巾を絞る際に指が突っ張り、爪で手首を引っ掻いている。
何故だ………。
(続く👻)