人から人への言葉の伝達。何人か続けば、内容は大きく変わっていたりする。
言葉を削ったり盛ったり、同じ事を伝え様とはしていても、受け取る側も個人で理解の仕方が違う。
人間と人間だから、そういうもの。
しかし。人間一人、個体でありながら、身体の中で伝達が上手くいかない場合がある。
指令は全て脳から。
忠実に、簡単な内容なら失敗せずに、身体は動く。
ーーー筈が。
病気、怪我、障害が確認されていない状態で、日々の中で、伝達を気にする事はまず無い。
脳は指令を出した。
インスタントコーヒーの瓶とマグカップを腕を使わず片手で持て。
なんだ、簡単だ。瓶を掌に乗せる感じで持ち、カップの取っ手を指に引っ掛ければいい。
マグカップにはコーヒーが半分程入っているから、気を付ける事は、傾けたりせずしっかり持つ。これだけ。
良し、持てた。移動しよう。
……………ダラダラダラ。
床にコーヒーが零れた。
ーーー不思議な事に、頭の中では、正常に瓶とカップを持てている。
しかし、手は持てていない。
目で確認して初めて、
「あ(傾いている…)」
(続く☕👻)