「お世話になった職員さんに迷惑を掛けるんじゃない。さ、帰ろう」
宥める様に言いながら、父親が近付いてくる。
「嫌だ嫌だ嫌だ、いっ」
「こら静かにしなさい」
父親の手がやんわり僕の口を押さえる。
頭を振って逃れ、肺に空気をいっぱいに入れて、力の限り、叫んだ。
「ーーっ嫌だーーーーーーーーーーっ!んぐ」
「うるさいっ!」
顔付きを変えた父親の手は、今度は強く強く、僕の鼻と口を塞いだ。
大きな掌は隙間を一切くれず、
苦しい。
力が入らない。
ゆっくりと周りが見えな…………………………………。
「大丈夫!大丈夫!?」
顔をペチペチ叩かれている様子。
一時意識が何処かへ行っていた。
「気を失った振りだ」
「離れて!これ以上深鳥君に近付いたら警察呼びますよ」
「親が近付いて何が悪い、警察なんて大袈裟な」
さっきまで僕一人が騒いでいたのに、殺気立つ職員達と、本性を現した父親が言い合っている。
避難でもする様に、職員二人に別室に連れて行かれた。
「ごめんね、家に戻そうとして」
何度訴えても届かない事。
目の当たりにして貰えれば、一瞬で伝わる。
(続く👻)