毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

笹井さん家⑩

「お世話になった職員さんに迷惑を掛けるんじゃない。さ、帰ろう」

宥める様に言いながら、父親が近付いてくる。

「嫌だ嫌だ嫌だ、いっ」

「こら静かにしなさい」

父親の手がやんわり僕の口を押さえる。
頭を振って逃れ、肺に空気をいっぱいに入れて、力の限り、叫んだ。

「ーーっ嫌だーーーーーーーーーーっ!んぐ」

「うるさいっ!」

顔付きを変えた父親の手は、今度は強く強く、僕の鼻と口を塞いだ。
大きな掌は隙間を一切くれず、

苦しい。

力が入らない。


ゆっくりと周りが見えな…………………………………。



「大丈夫!大丈夫!?」

顔をペチペチ叩かれている様子。
一時意識が何処かへ行っていた。

「気を失った振りだ」

「離れて!これ以上深鳥君に近付いたら警察呼びますよ」

「親が近付いて何が悪い、警察なんて大袈裟な」

さっきまで僕一人が騒いでいたのに、殺気立つ職員達と、本性を現した父親が言い合っている。


避難でもする様に、職員二人に別室に連れて行かれた。

「ごめんね、家に戻そうとして」

何度訴えても届かない事。

目の当たりにして貰えれば、一瞬で伝わる。


                (続く👻)