毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

笹井さん家⑪

警察沙汰にはしたくない。
家には帰らない。

この二つだけを主張した。

気を失ったのは一時だけ、暴力は普段から然程受けていないという事で、警察沙汰にはならずに済んだ。

父親の豹変を第三者が目の当たりにした事で、取り敢えず施設での生活が続く。

世間体を気にして僕を連れ戻そうとしていた両親も、今回の事でばつが悪くなったのか、静かになって姿を見せなくなった。

まぁ、大人同士集まって話し合いくらいはしているのかもしれないが、

何だっていい、家に帰らないで済むのなら。


学校では、クラスの数人に施設から通っているのがバレたが、説明が面倒なので「お兄ちゃんが病気がちで親が忙しいから」と誤魔化したりして流した。


ーーーいいよね、家に帰らないって。

死ぬ事も考えたあの時から、随分と落ち着いてきて、何より、笹井さんと会える様になったのが嬉しい。

最初の頃は、関係性がはっきりしない事もあって、施設の人も自由に会わせていいのかどうか?がよくわからなかったらしいが、どうやらその答えは稲村さんが出した様で。

「深鳥君がピンチの時、唯一助けを求める事が出来た相手が、笹井君です。深鳥君が望むなら、会わせてあげて下さい」

今は、いつでも会える。


そんな落ち着いた日々の中、

突然、お兄ちゃんが一人で、施設に来た。


                (続く👻)