また家に帰される事になった。僕は一度も頷いていないのに、冗談じゃない。
冗談じゃない。
ここにもいられないのか。いてもいい場所なんて、子供一人で見つけられるものなのか。
…笑える程無理だ。
例えば、選択肢が幾つかあるとして、僕が拒否しているのは〈家に帰る事〉たった一つ。
家というか、両親から離れられればそれだけでいいのに、
周りの大人達は、そのたった一つを実現する為に一生懸命だ。
あーあ、ここからどうやって気力を出せと言うのか。
また行き先も無く逃げるのか。
また自殺を図るのか。
[どうしよう、さ……………]
笹井さん。
笹井さんと話したい。
もうどうせ、家に帰っても闇雲に逃げても、
その先は真っ暗で一切見えない。
唯一、笹井さんが脳裏に浮かんだ。
味方。
勝手にそう思っていて、きっと何を言われても困るだろう。
困るとわかっていて、もうそれしかない。
それしかない。
僕は小銭をポケットに入れた。
神経を研ぎ澄まし、〈隙〉というものだけを待つ。
(続く👻)