毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

笹井さん家⑦

また家に帰される事になった。僕は一度も頷いていないのに、冗談じゃない。

冗談じゃない。

ここにもいられないのか。いてもいい場所なんて、子供一人で見つけられるものなのか。

…笑える程無理だ。

例えば、選択肢が幾つかあるとして、僕が拒否しているのは〈家に帰る事〉たった一つ。
家というか、両親から離れられればそれだけでいいのに、

周りの大人達は、そのたった一つを実現する為に一生懸命だ。

あーあ、ここからどうやって気力を出せと言うのか。

また行き先も無く逃げるのか。

また自殺を図るのか。


[どうしよう、さ……………]


笹井さん。

笹井さんと話したい。

もうどうせ、家に帰っても闇雲に逃げても、
その先は真っ暗で一切見えない。

唯一、笹井さんが脳裏に浮かんだ。

味方。

勝手にそう思っていて、きっと何を言われても困るだろう。

困るとわかっていて、もうそれしかない。

それしかない。


僕は小銭をポケットに入れた。

神経を研ぎ澄まし、〈隙〉というものだけを待つ。


                (続く👻)