「もっと降らねぇかな、そうしたら俺達絶望の真っ只中!」
「軽いなー」
恋愛抜きにしても、時に人恋しくなる事はあるのかもしれない。
寂しいからか、と思うと嫌になる。
そこまで寂しがりやじゃないのに、誰かといると弱くなって、家に着いて一人になるのを回避しようと
、こうやってダラダラ歩いているのか。
これでは友人に申し訳ない。
「寒くない?」
「少し冷えてきた」
「ごめん」
「何で謝ってるの?」
「こういう時男は……」
「いいって、冗談だよ」
付かず離れずの友人同士、この関係が壊れるのを恐れている。
相変わらず土砂降りにはならず、地味に身体の熱を奪う。
「ちょっとこれ持ってて」
友人は右手に何か握っていて、私は特に何も考えず左手を差し出す。
その手を掴まれた。
「???」
感触的には何も持たされていない様だが……。
(続く👻)