毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

笹井さん家⑨

「笹井さん、どうしよう、明日家に帰されてしーーーーーー」

「深鳥君!」

斜め後ろから、聞き慣れた声で呼ばれ、

あぁ駄目か。駄目になるのは簡単だ。
職員の人に腕を掴まれ、それを振り払う気力は、出て来ない。

小銭で得られる時間は短く、受話器の向こうにはもう、笹井さんはいなかった。


施設に連れ戻され、職員の人達が僕になんやかんや言っているが、内容は入って来ない。

笹井さんと稲村さんが施設まで来てくれた様だが、会う事は許して貰えなかった。


滞り無く、

地獄へ行く。

最早、〈死〉の方が救われるかもしれない。


朝。ぼ~~っと、どう死ぬか、を考えていた。
迎えに来た両親は、腰が低く不気味ににこやかにしている。

僕は一度も、家に帰るとは言っていない。

誰も聞いていない、誰も…………………………?


[君がそれを望まないのなら、しない]


ーーーーー笹井さんは、初めて会った日に、僕の気持ちを尊重してくれた。

いるんだ、この世に。

どうせ死に向かうのなら、
残った全てを使って。

「…嫌だ」

「え?」



「嫌だーーーーーーーーーーっ!!!」



                (続く👻)