「笹井さん、どうしよう、明日家に帰されてしーーーーーー」
「深鳥君!」
斜め後ろから、聞き慣れた声で呼ばれ、
あぁ駄目か。駄目になるのは簡単だ。
職員の人に腕を掴まれ、それを振り払う気力は、出て来ない。
小銭で得られる時間は短く、受話器の向こうにはもう、笹井さんはいなかった。
施設に連れ戻され、職員の人達が僕になんやかんや言っているが、内容は入って来ない。
笹井さんと稲村さんが施設まで来てくれた様だが、会う事は許して貰えなかった。
滞り無く、
地獄へ行く。
最早、〈死〉の方が救われるかもしれない。
朝。ぼ~~っと、どう死ぬか、を考えていた。
迎えに来た両親は、腰が低く不気味ににこやかにしている。
僕は一度も、家に帰るとは言っていない。
誰も聞いていない、誰も…………………………?
[君がそれを望まないのなら、しない]
ーーーーー笹井さんは、初めて会った日に、僕の気持ちを尊重してくれた。
いるんだ、この世に。
どうせ死に向かうのなら、
残った全てを使って。
「…嫌だ」
「え?」
「嫌だーーーーーーーーーーっ!!!」
(続く👻)