毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

使者⑥

まさかそんな。嫌だ嫌だ、こんな事を考える自分が。

草原に出て、ヤギが見えてきた。

「ちょっと待ってて」

そう私に言って、宇都宮君は神尾君と話し始めた。

「今度は三人で遊びに行く?テーマパークとか」

「機会があれば。…取り敢えず、田中さんが書いた遺書を渡して貰える?本人に返すから」

「あぁ、メモ帳ね」

あっさりと神尾君はメモ帳を宇都宮君に渡した。
二人の距離が近くなって。

「あんな風に、みんな(塾の仲間)に遺書を書かせたのか」

声を抑えている様だが聞こえてしまう。
止めて、そんな恐ろしい事が、

現実である訳が無い。

「遺書なんて、誰かに頼まれて書くものじゃないだろ。自分の意志でしか書けないと思うよ」

顔色を変えず、はっきりと神尾君はそう言う。

そして二人が私の方へ歩いてきた。

「これは田中さんが持ってて」

宇都宮君にメモ帳を渡された。

「綺麗な景色を見せたかったんだけど、危ない目に遭いそうになって、何かごめんね。次は安全な場所で三人で遊ぼう。じゃあ、ここで解散」

笑顔で、神尾君は私達に手を振って、先に草原から出て行った。


               (続く👻)