まさかそんな。嫌だ嫌だ、こんな事を考える自分が。
草原に出て、ヤギが見えてきた。
「ちょっと待ってて」
そう私に言って、宇都宮君は神尾君と話し始めた。
「今度は三人で遊びに行く?テーマパークとか」
「機会があれば。…取り敢えず、田中さんが書いた遺書を渡して貰える?本人に返すから」
「あぁ、メモ帳ね」
あっさりと神尾君はメモ帳を宇都宮君に渡した。
二人の距離が近くなって。
「あんな風に、みんな(塾の仲間)に遺書を書かせたのか」
声を抑えている様だが聞こえてしまう。
止めて、そんな恐ろしい事が、
現実である訳が無い。
「遺書なんて、誰かに頼まれて書くものじゃないだろ。自分の意志でしか書けないと思うよ」
顔色を変えず、はっきりと神尾君はそう言う。
そして二人が私の方へ歩いてきた。
「これは田中さんが持ってて」
宇都宮君にメモ帳を渡された。
「綺麗な景色を見せたかったんだけど、危ない目に遭いそうになって、何かごめんね。次は安全な場所で三人で遊ぼう。じゃあ、ここで解散」
笑顔で、神尾君は私達に手を振って、先に草原から出て行った。
(続く👻)