毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

使者⑦

「どうしてここに来たの」

「気になって。ごめん尾行して」

「神尾君を、疑ってる?」

「決定的な証拠は無い。ただ、いなくなった塾の仲間はみんな、神尾君と遊ぶ約束をしていた。偶然か必然か、わからないんだけど」

「私、無理矢理遺書を書かされた訳じゃない」

「うん。ーーー送るよ」

今がどういう状況か、ぼやっとして曖昧。
人を疑う事自体、汚い感情だ。

でも、もし宇都宮君が来ていなかったら、

私はもうこの世にいなかったのかもしれない。

それが恐怖なのかどうか、それすらはっきりしない。


宇都宮君に送って貰い、家で一人になってから、近くにあるのだと実感した。

死が。

死んでしまおうかな、なんて何となく思っていたのは、死が見えない程遠くにあったからで、
塾の仲間達がいなくなっても実感出来なかったのが、

掴まれていた腕の部分が熱くて、逆に生を感じる事で、

死が直ぐ傍にあるのだとわかった。


大切な場所なのに、これからどんな心持ちで塾に行けばいいのだろう。

何事も無かった様に、汚い感情も消え失せて、

三人で遊ぶ情景を、ただ想い浮かべていた。


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学校が終わってから塾に来て、……暫く経っても、

神尾君が来ない。


               (続く👻)