毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

使者④

「遺書?」

「念の為の練習。いざという時に何書こうって迷うかもしれないしさ」

「普通何て書くんだろう、考えた事も無かった」

今までありがとうとか?恨みつらみとか?
特に残したい感情も無いので、神尾君と笑いながらふざけて何枚か書いた。

もう少し歩いてみよう、という事になり、練習用のメモ帳をポケットに仕舞った神尾君の後を着いて行く。

少し下って行く感じで、川の流れの音が大きくなる。
足元に気を付けてと、神尾君が時々振り返る。

滑ったら川に落ちちゃうなーと、ーーーーーーーーーーーーーーーーーちょっと待って。

ちょっと待って。

私は歩きながら、思考だけ単独で歩かせた。

近付くと、川の流れは結構速い。落ちたら助からない可能性はある。落ちて死んだら、ーーーーー遺書を書いてしまった、という事は、自殺になる。いや、傍にいる神尾君が助けてくれる、助けを呼んでくれる、

……………急にザワザワと全身が嫌な感覚に包まれた。

亡くなった塾の仲間達が、死因は詳しく教えられていないが、早々に自殺と断定されたのは、

遺書があったからだ。

私も書いた、何で?

神尾君に誘われたから。


ヤギを見る少し前から、誰とも擦れ違っていない。
人気の無い森の中、


私と、神尾君だけ。


               (続く👻)