騒がしいのがいなくなって、家庭でゆっくり話が出来る。
私の話を、妻と娘がにこにこして聞いている、理想的だ。
平穏な日々が暫く続いていた時。
風呂上がりソファーに座って寛いでテレビを観ていたら、目の前のテーブルが歪み始め、穴が出現していく。
何かを捨て様と今願ってはいなかったが。
後ろに、妻と娘が立っている。
「二人で決めたの」
「カッとして衝動的にりっくんを捨てるなんて酷い」
「お前達だって困っていたじゃないか。いなくなってから三人で楽しくやっていたのは事実だろう」
「あなたに捨てられない様に気を使って生活するのはもう限界、もうこうするしかないのよ。私は陸を、捨てたいと思った事は一度も無かった」
「さよなら、お父さん」
ちょっと待て、どういう事だ。テーブルには大きな穴が、二人分の強い願いか。
ちょっと待て。
この場所に、何かを捨てた事がある者が、捨てられる側になる時、
あぁ待ってくれ。
(続く👻)