毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

今日もコンビニは開いている③

つい、やはり、どうしても。
見守るだけの筈が、オーナーも店員達も気持ちの上で〈一人の客〉扱いをするのが難しく、

夏休みに入ってコンビニにいる時間も長くなった凪子と、更に絆を深めていく。

凪子と母親が連れ立って来店した事もあって、二人の姿はただ、仲の良い母娘だ。

家庭内の事は覗けない、のだが、子供には周りの大人達が手を差し伸べてあげればいい。
そんな想いでいつでもコンビニは開いているのだが、

店には来ている、しかし凪子の顔から少しずつ、笑みが引いていった。


暫くして、また母娘で来店した時、店側はその理由を知る。
母親はオーナーを呼んだ。

「この子がもう来られなくなってしまうので…。皆さんと仲良くさせて頂いて、本当にありがとうございました。オーナーさんと奥さまと、店員さん一人一人に手紙を書いたそうなので、これ(手紙)を…」

「えぇっ!引っ越すのですか?」

「この子だけ、福岡の父親の方に」

今度は、別れた夫が引き取るという事。

オーナーは、手紙の束を手にしたまま、
しばし言葉が出なかった。


皆で大事にしていた凪子の笑顔が、

遠くへ行ってしまう。


              (続く✉👻)