毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

今日もコンビニは開いている⑤

瞳の奥の、果てしない脆さ。
不安、寂しさ、無力さ、子供という立場の弱味、

どうしようもない勢力に流され、救いを求め手を伸ばす凪子に、

何も出来ずただ立ち尽くす壮亮。

[寂しい]

言葉の代わりに、そう物語っていた瞳。
それぞれへの手紙にも見せていなかった。

仕方が無い、

向こうで元気に過ごす事を祈るしかないと、車を見送った。


日々を重ねる事で、壮亮も寂しさは軽減していったが、

更に数年経ち、未だ何となく働き何となく生きていた壮亮。
自宅で虐待に関するテレビ番組をたまたま観ていた。出演者の顔出しは無いが、俄には信じ難い壮絶な内容ばかりが語られている。

父親からの性虐待、父親が付き合っている女からの暴力・暴言、自殺未遂、家出、

よく生きてきたなと辛くなりながらも、もう一本缶ビールを取りに行こうと立とうとしたところで、

テレビ画面には告白している女性の顔は映っていない。が、急に壮亮は画面に観入った。

本名も顔も隠されている、十代、髪は肩までは届かない、音声は変えられている、

情報はほぼ無い状態だが、

ただならぬ不安の様な気配の理由を、

壮亮は画面の中から必死に探した。


               (続く👻)