ぶちっ。
何の音なのか、長い事わからなかった。
物心付いた時から聞こえていたが、それが普通なのか異常なのか比べる術も無いので、余り気にせずにいた。
人がキレるという類いのものではない、
確かに千切れている。
何が?
思い返してみた。
茫然としている。
大きな力に捩じ伏せられている。
屈服しながら不条理さに混乱している。
痛さに見合った悪さをしたのかと困惑している。
SOSをスルーされて固まっている。
ぶちっ。
音がするのは、望みも救いも無い時だ。
静寂な衝撃。
細いものが切れる音。
その音を何度も聞いていたら、
足元がフワフワと不安定な感覚に。
まるで、支えが減っていく様。
皆聞こえているのだろうか。
笑顔の友人達は、一人の時千切れているのだろうか。
何が。
既に随分と切れてしまっているが、
目には見えないので、
仮の姿を与えてみようか。
それを、百本の糸としよう。
(続く👻)