若干閑散としながらも、死んではいない夜の街がはっきりと見えている。
賑わっていた時代もあるのだろう、広いフロアがある豪華な内装の店などは、今のこの街は持て余している。
従業員、客になる前の人、タクシーなどがちらほらと散らばる中、携帯電話を手にロングコートを着た私は、居心地悪くこの街を歩く。
慣れている場所なのにもかかわらず、理由はわからないが少し距離を置いただけで、肩身が狭く感じ居づらいのだ。
二つの店に在籍している。
一つはスカウトされて入った、長らくお世話になっているクールな内装の広めのパブ・スナック。
もう一つは勤めて日の浅い、昔から細々とやっていた様な風貌の古めのスナック。
理由は何故かわからないが、
どちらの店にも暫く行っていない。
働かなければ一人暮らしの生活は成り立たない。
長く勤めているパブ・スナックがあるビルに入る。エレベーターの中も気が重かったが、店内に入るとそれは更に増した。
知っている女の子は見当たらない、その代わりに、確実に私より若い女の子が数名私には目もくれず楽しそうにお喋りをしている。
ママがまだ来ていないので戸惑いしかなく、居ても立ってもいられず店を出た。
外れの方にあるもう一つのスナックに行ってみる。店の扉を開けると、お客さんが一人いて女の子とカラオケを歌っている。店内に他に人の気配は無く、私の入る隙間も無く、そのまま店を後にした。
(続く👻)