毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

風蝕②

目的地に辿り着いた筈が、
目的が宙に浮いた。

受け入れるしかないのか、この敗北感を。

この夜の街は、豪華な内装の店と同じく、私の事も持て余している。

一縷の望みを抱いて、スカウトされて入ったパブ・スナックのママに電話を掛けた。
この店は十代から五十代と幅広い年代のメンバーが揃っていた時もあり、長い付き合いのママなら、安堵させてくれる台詞を言ってくれるかもしれない。

「私、今日店に出てもいいですか」

電話での会話が、いつまで経っても終わらない。外気の寒さより、私の周りを過度なストレスが渦巻く。

何の魅力も無い私がこの世界でやってこれたのは、単に若さがあったからか。
みんな変化していく。結婚したり、別の職業に就いたり、自分で店を持ったり。

私は変わらず、使われるだけ。

それが普通に許される時は、どうやらいつの間にか過ぎていたのだと、早急に認めなければいけないらしい。

そんな年齢だ。

まだ電話は切れていない。という事は、決定的な言葉が出るに出られない状態か。

日常に馴染んだこの街の景色が、見る見る風蝕されていく。

もうわかった、
もういいから、

言って貰って構わない。


ーーーあなたは要らないーーー


                  (続く👻)