毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

彼女を攫う日④

不埒な理由だ。
彼女が住んでいるらしい街に出来るだけ近付いての、高校進学。
ストーカーだと思われたくなくて、周りに聞く事はしなかった。

もし再び会えたら、

言いたい事がある。



「ねぇ帰るの?」

下校時、後ろから声を掛けられて、振り向いて固まった。

「ーーーーー」

「覚えてないか」

「いや、………ここの生徒?」

「全然気付かないんだもん」

彼女は、予想外に近くにいた。暫く気付かず、馬鹿みたいに遠くを眺めてばかりいた。
急で、混乱する。

「………久し振り」

「うん。少し歩こう」

そう言えば、こうして並んで歩く事すら初めてだ。
そのくらい、何も無い二人。

それなのに僕は、言いたい事がある。

「同じ学校だとは、」

「ほんと偶然、って言いたいところだけど、違う」

「?」

「友達に聞いた、君がここ(の高校)に行くって。だから決めた」

「は!?」

「ちょっと、ストーカーじゃないからね!そういうんじゃないから」

慌てる彼女の方を向くと、背が高くはない僕より、彼女は少し低い。


                  (続く👻)