不埒な理由だ。
彼女が住んでいるらしい街に出来るだけ近付いての、高校進学。
ストーカーだと思われたくなくて、周りに聞く事はしなかった。
もし再び会えたら、
言いたい事がある。
「ねぇ帰るの?」
下校時、後ろから声を掛けられて、振り向いて固まった。
「ーーーーー」
「覚えてないか」
「いや、………ここの生徒?」
「全然気付かないんだもん」
彼女は、予想外に近くにいた。暫く気付かず、馬鹿みたいに遠くを眺めてばかりいた。
急で、混乱する。
「………久し振り」
「うん。少し歩こう」
そう言えば、こうして並んで歩く事すら初めてだ。
そのくらい、何も無い二人。
それなのに僕は、言いたい事がある。
「同じ学校だとは、」
「ほんと偶然、って言いたいところだけど、違う」
「?」
「友達に聞いた、君がここ(の高校)に行くって。だから決めた」
「は!?」
「ちょっと、ストーカーじゃないからね!そういうんじゃないから」
慌てる彼女の方を向くと、背が高くはない僕より、彼女は少し低い。
(続く👻)