毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

彼女を攫う日⑤

「ストーカーって言うなら、僕の方が、……」

視線がぶつかって、一時、間が空く。

「身長伸びた?私より小さかったじゃない」

「そんな事は一度も無い」

笑い声を隣で聞きながら、歩く。
何なんだこれは、まるで青春か。

しかし忘れてはならない、
僕の犯した失敗は、消えて無くなったりしない。

「知りたい?変態オジサンとの生活」

「いや」

「興味無いか」

これは正解がわからない、話したいのなら聞くが、知りたいという訳ではない。
内容によってはまた戸惑って、無言になるという失敗をするのが怖い。

「…この街にいればもしかしたら、君を見掛けるんじゃないかって」

「え、」

「ストーカーだと思われたくなくて、君が何処でどうしているか聞けなかった」

「別に教えたのに」

また暫く間が空く。

「……………」

「叔母さんのところにいて落ち着いてきて、変な噂も薄れてきて、ほんとは進学とかどうでも良かったんだけど、なんか、普通の高校生やってみてもいいかなって。二人でくだらない話してたの、もう一回やりたいなって思って」

「二人」

「うん、君とね」


僕は、言いたい事がある。


                  (続く👻)