毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

彼女を攫う日②

「でも流石に変態はヤだろ」

「それに縋るしかない、っていう気持ちはわかる」

「止めとけ」

ここで目が合ってしまって、微かに景色が変わった。
一般的な誰かの話をしていると思って、適当に返していたが、

[誰か、私をーーーーーーー]



彼女は、姿を消した。

暫くは様々な噂が飛び交っていたが、警察が公開捜査に踏み切り、行方不明だと明らかになった。

学校では「誘拐された」と騒がれている。
友人達が「家出する様な娘じゃない」と話していたからだ。

僕との会話はどうやら、二人だけのものだった可能性が高い。
どうでもいい相手には普段隠している心情を、こぼし易かったのか。

それならいい。理由がそれだけならいい。

ーーーいや、思い返せば返す程。
度々彼女は僕に匂わせ発言をしていたんじゃないのか。
特に友達でもない、の割には、沢山話をしていたじゃないか。


何だ、

自惚れを承知で言うなら、

僕は、

失敗をしたのか。


あの時、言葉を発するのは僕の番だった。
何も言えず、縋ろうとした僅かな気配を断ち切ってしまった。


彼女は、自ら姿を消したんだ。


                  (続く👻)