「でも流石に変態はヤだろ」
「それに縋るしかない、っていう気持ちはわかる」
「止めとけ」
ここで目が合ってしまって、微かに景色が変わった。
一般的な誰かの話をしていると思って、適当に返していたが、
[誰か、私をーーーーーーー]
彼女は、姿を消した。
暫くは様々な噂が飛び交っていたが、警察が公開捜査に踏み切り、行方不明だと明らかになった。
学校では「誘拐された」と騒がれている。
友人達が「家出する様な娘じゃない」と話していたからだ。
僕との会話はどうやら、二人だけのものだった可能性が高い。
どうでもいい相手には普段隠している心情を、こぼし易かったのか。
それならいい。理由がそれだけならいい。
ーーーいや、思い返せば返す程。
度々彼女は僕に匂わせ発言をしていたんじゃないのか。
特に友達でもない、の割には、沢山話をしていたじゃないか。
何だ、
自惚れを承知で言うなら、
僕は、
失敗をしたのか。
あの時、言葉を発するのは僕の番だった。
何も言えず、縋ろうとした僅かな気配を断ち切ってしまった。
彼女は、自ら姿を消したんだ。
(続く👻)