毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

神隠しを待つ①

いつもトンボが飛んでいた。
そういう時季に此処へ来ているから。

山の中の赤トンボは鮮やかに赤くて、辺りは昼下がりでも明るかったり暗かったり、

陽光が射しても、実は怖い。

霊感は無い、魂が浮遊する様を目撃している訳でもない、

墓地というだけで恐れるなんて本当は失礼な話だ。

人が死ぬ、お墓に入る。

ただそういう流れ。

その流れを辿らない人もいる事を、
子供の頃は余り考えない。

セミが鳴く。

民家も遠い山の中、野生動物もいただろうに、逢えないものだ。

リスがいるかもしれないと夢を描いたら、父に酷く馬鹿にされたので、

そんな事を言うのを止めた。

夢も未来も期待も諦めざるを得ない。

トンボには死者が見えているのか。


ふと、何処でそんな言葉を覚えたのか、
この山の中ならもしかして、

摩訶不思議に忽然と消えると言うーーーーーーーーーー。


               (続く👻)