直ぐ行ける別世界①
今いる部屋の空間に手包丁で縦に切れ目を入れて手でグッと広げて、右足を入れてみた。
お、いけるかも。両方の足を踏み入れたらそこは別世界の筈だ。と言っても景色は一緒、テーブルもベッドも同じ位置、テレビに映る番組も続いている、ーーそれはそうだろう。
両足が入った瞬間足元に何か触れた様な、猫っぽい、姿は見えないがこちらには猫がいるらしい。二・三度する~んと感触が。
さぁ息を吸って吐いて。こちらには僕を咎める者はいない、いじめも虐待も無い、強制的に何かをやらされる事も無い、苦手な匂いもしない、恐れて心臓がバクバクする事も無い、争いも事件も起きない、
そして家族もいない。
緊張する力を解いて、
自由に空間に存在していい。
(続く👣👻)