残雪に雨
暗闇の隅にある冷たいものに、水滴が打ち付けている。
上と下の温度差が大きいと、全てを受け止める底で起こる事は残忍だ。
静かにゆっくりそれなりの姿になっていく筈が、無理矢理急に変えられてしまう惨状。
上の方で笑っている?
下がどうなろうと気にもならない?
きっと見えてもいないのか、降りてくる事など一生無いのだろう。
安定している筈の地面が歪んでいる。大地はいつも心広く受け入れてくれるのに、
容量を越えてしまうと周りに散らかりゆっくりなどしていられず急に、
姿を変える事を強要される。
それは形を無くすという事。
心の準備も整わず消えていくのだ。正確にはまだそこにいるのだが、
もう誰にも見えない、
もう気付いて貰えない。
待ってと手を伸ばしても、その手自体が既に透明で。
数時間前はそこに見えていた。暗闇の隅は今、ただの暗闇。
冷気さえ残っていないのかもしれない。
待って、先に行かないで。
⛄ 👻☔