安心したい。
記念日のサプライズはいらない。
お金持ちにはなりたくない。
背筋が凍る瞬間を回避したい。
電話が鳴る。
殆ど大した内容のものではない、気にする方がおかしい。
何時間も脅しの台詞を聞き続けたのは、もう昔の事。
それなのにあの音だけ、心臓が堪えられない。
その引き戸、いつ開きますか。
開く可能性があるから、着替えるのを止めよう。いつか開くから、勉強机の椅子に座ろう。
引き戸が開くという、切迫感。
自分の足音?
いや、別の足音。近付いて来るのか、追い越して行くのか。
後ろの正面、誰であっても冷や汗が吹き出る。
安心したい。
驚きたくない。
一位は目指さない(競いたくない)。
緊張状態は、もうたくさん。
でも、世界中の子供達が安心を得られるのなら、
老い先短い私は〈安心〉を諦めたっていい。
諦めてどうにかなるんだったらなぁ…。
あぁ、安心したい🌛