毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

誰が盗ったのか②

オーナー(店の近くにあるホテルの、何かしらの部長。皆「部長」と呼んでいる)も来る事になった。

店の従業員の中で一番の新入りはチーフ、次いで私なので、他の女の子(二人)とギスギスした関係になるのが嫌で、話し合いの前に、慌てて二人に事情を説明した。了解してくれたが、関係の無い人には無駄に時間を取られる事になるので、申し訳無い限りだ。

部長は、鎌をかけた。
私の赤い長財布を持ってみんなに見せながら、
「指紋を採取して、今調べて貰っている」
と、思いきり出任せを喋り出した。

すると、何という事だろうか。二名、面白い反応を見せた。
部長の隣に座っていた女の子が、部長の手から私の財布をぶん取って、
「やだーーっ、私この財布可愛いって前いっぱい触っちゃった!ねぇ!?」
ねぇ!?で彼女は私と目を合わせてきて、その勢いに圧されて思わず、
「あぁ…、うん」
と頷いてしまったが実は、[そんな事あったかな??]と思い出せてはいない。しかし出勤前や終わった後など、女子だけで居酒屋やスナックに飲みに行った事があり、会計時財布を出した時にそういう事があったとしても、おかしくはない。

そしてもう一人。
まるで漫画やアニメに出てくる様な、冷や汗をダラダラ流して(実際は流れていないが)押し黙る人物。
チーフだ。
私はこちらの方に視線が釘付けになった。こんなにわかり易く、内心を狼狽させる人がいるだろうか。

実は私もママも、一番棚の開け閉めをするチーフが犯人なのでは…と、考えていた。
部長は一人ずつに聞くが女の子達は盗っていないと言い、次はチーフの番。

ずっと目を離さずチーフの顔を見ていた私は、

チーフの話す様を見て、恐ろしくなった。

             (続く👻)