目にゴミが入った時、
髪を乾かす時、
出掛ける前なら全体を、
確かに映した。
一日に何度かは見ている筈、
それでも、
鏡に映った人間の印象は特に無い。
どんな人でしたか?
何か特徴はありましたか?
女性だった気がするけど…
髪が長かった様な…
他は、覚えていない。
街ですれ違う、気にも留めない群衆の一人、
そこにあって当たり前の、道端の雑草、
そんな感じだ。
ふと、疑った。
私が、自分の姿を映しているのだと普通に思っていた。
が、もしかしたら、
私が、映っている側だとしたら。
鏡の外は、もっと色鮮やかなのではないか、
触れなくて熱を発していない方が、私なのか。
現実と、鏡に映っているもの、
存在の重さの違いは、あって当然だ。
気付かないだけかもしれない、
仕方無い、同じ動きをしている。
同じ顔をしている。
冷たい平面の鏡の中に、
私はいるのかもしれない。
👤❔👻