私は、ヤスデを探した。
伝えなければいけない事がある。運良く自宅の敷地内で直ぐに会う事が出来た。
「あの、すみません、少しお話宜しいですか」
「何?」
「この家の人間が、ヤスデの駆除を行うそうです」
「マジで、やべぇじゃん」
「なので、この辺りからは離れた方がいいと思います」
「そうだな、みんなに言っとく。でも何でわざわざ教えてくれんの?」
「あのー、言いづらいんですけど、誰かヤスデさん達の中で私と交代してもいいという方がいらっしゃったら…」
「人間と、ヤスデが、入れ替わるって事?」
「無理でしょうか」
「一応聞いてみるけど、人間と比べたらヤスデの寿命なんて高が知れてるぜ」
「それでも、お願いします」
意外に待たされた。理由は、俺が私がと交代したいヤスデが多く、モメた為だ。
無事、子供のヤスデと入れ替わる事が出来た。草取りが済んだばかりの庭は土が剥き出しになって広がり、つい別世界に行けたのかと勘違いしそうになるが、ただの自宅の庭でしかない。
虫は得意ではない、あちらもこちらもヤスデ・ヤスデ・クモ・ヤスデ・羽虫・ヤスデ…と何処を向いたら良いか迷うが、自分もヤスデなので仕方が無い。
ヤスデになって今のところ、人間との関わり合いは無い。好き好んではみんな家の側や、まして家の中に入り込むなんて事はしない。
それなのに人間はヤスデを嫌がる様で、家に近付く前に駆除しようとしている。
見た目は流石に、何と言うか、人間から見て「まぁ可愛い~💕」とはなりづらい姿をしているが、積極的に人間を襲う訳ではないのに、
駆除されてしまう。
だから、私は、ヤスデになった。
(続く👻)