普段当たり前に、生きているならやる事。
難しくない、特に些細なもの。
文字・絵を書く、髪を乾かす、着替える、トーストに何かを塗る、靴を履く、………
そんな中にある、
爪を切るという行為。
毎回ではないが、時にフラッシュバックして、酷くはないが、軽く辛い。
子供の頃爪を切っていると、
父は、私を馬鹿にした。
伸びたから切っているだけなのに。
〈阿婆擦れ〉、
〈飲み屋の女〉(実際飲み屋で働いてわかりましたが、馬鹿にする様な職業ではありません)。
ニヤニヤして嬉しそうに私を嘲る父。
たぶん何でもいいのだろう、
何をしていたって、
それが私なら、
罵ってもいい。
蔑んでもいい。
姉みたいに刃向かったり出来ない、
押し黙り、
父の鬱結した情意を浴びる。
浴びながら、
爪を切る。
パチ、
パチ。
(続く👻)