穴は何処にいった③
「また忘れ物しちゃった~…って、まだそこにいたの?」
「落ちたのに誰も助けてくれないんだけど」
「君は何かに夢中になると集団から外れる事よくあるから、いつもの事かと」
余り会話はしないが確かに忘れ物をよくしている女子に引っ張り出して貰った。
「ありがと、痛たたた…。何でみんな先に帰っちゃったんだよ、僕もしかして嫌がられてるとかある?」
「ないないない、て言うか本当に穴に落ちたの?教室の穴って何よ。あ、急がなきゃ怒られるじゃあね」
助けてくれた子は行ってしまった。
教室に穴が開いているなんて驚きだ、窓際の隅の陰になって暗く見える床の所……ん?触ってみるとただの床。
穴は?僕は数時間何をやっていたんだ、いや確かに穴に落ちてもがいたからその証拠に膝が痛い。そうだよ失望したのは本当に困っているのにそれが伝わらないから。
穴は何処にいった。膝は本当に痛い。
目撃者は一人いるけど、僕が穴に落ちていたと証言してくれるだろうか。
穴に落ちて出られなかったという事を信じて貰う為にどうするか、なんて、
教室の穴って何だよ、
薄暗い所が穴に見えたのは本当で…、
何かに集中すると周りが見えなくなるのも本当で………。
⚫ 👻