病院のベッドに寝かされている。
僕は、バスタブの中で溺れた事になっているらしい。
空気を読んで、記憶が無い振りをして、否定はしていない。
本当の事を言ったって証拠が無いし、お父さんは白を切るだろうし、何よりその後、更に酷い目に遭うのはわかっているから、
怖いから、何もしない。
……疑ったりしないのかな。お風呂に入っていて溺れた様です。あら危なかったですね。と、世の中は流れて行くのか。
やっぱり、自分の考え方だけが狂っている。
お父さんに殺されるところだった、この異常事態を異常だと思っているのは自分一人。
誰もが素通り。
近くにいるお母さんさえ素通りするのだから。
まだ生きているという事は、またあの異常な空間に置かれる。
どうせいつか殺されるから、その前に自分で死のうかな。
これでも頑張って、異常な普通に馴染もうとした。
周りが普通にしているから、あれもこれも、どんなに酷い目に遭っても、普通ってこんなもんだーーーーーーーーーーーーーーー
なんてね。
最期になるかもしれないから。本当は言うつもりは無かったけど、
実は、ずっと疑問を持っていた。
今、ベッドの側にいる人に。
「ねぇお母さん。どうして僕を助けないの?」
(続く👻)