毒親への返報

毒親や虐待をメインに書いています。

笹井さん家③

後ろから、男の人の声がした。

「迷ったのかな。戻りたい所に案内するよ」

看護師の格好をした、まだ若そうな人。

「迷子になんてなってない。行き先が決まっていないだけ」

「??家族の人は?」

「家族は関係無い」

「えーと、子供一人にしておく訳には…」

「そうやって直ぐ親元に帰そうとする。不審者が出た時も、災害が起きそうな時も。親と一緒にいるのが一番安全だと勝手に決め付ける。何も考えてない、他人の事なんてどーだっていいんだよ。みんながみんな同じで、それが当然だと思って、ーーー」

「あぁぁ、ご、ごめんなさい。えーと、その、うーん、あっ、行き先は決まっていないんだよね。仕事もう終わりだから、僕とジュースでも飲みませんか」

「はぁ!?その間に親に連絡しようと思ってるんだ」

「君がそれを望まないのなら、しない」

「………」

「約束する」

「拉致とか誘拐とかするの」

「ええぇ!まさかそんな。その行き先について話でもしよう」


仕方無く折れたのは、やはり何処へ向かうのか先が見えていなかったからだ。

話をする場所は、エレベーターに乗って少し下って、降りて暫く歩いて、端の方にある扉の先。

中には女の人が一人いた。


                (続く👻)