「飽きちゃうよね、こんな面倒な事」
「飽きたりはしてない、人間って驚く程誰かを傷付けた事を覚えてないらしい。想像以上に上手くいかなくて」
「ふーん、容疑者ってよく「覚えていない」って言うしね。そんな訳無い、あれだけやって言っておいて。認知症を患ったのなら…間に合わなかったと言うしかないけど」
「そこまではいってないと思うけど、たぶん自分自身と向き合う事から逃げているんだ。実はこれ難しい作業なんだよね」
「…庇ってるみたいな言い方」
「いやいやいや違う!何年も人間の闇を調べていたら、深いところでいろいろ絡み合っていて、一筋縄ではいかない場所だった。脳が全て司っていて、自身が壊れるのも記憶の有無も勝手に脳がーーー」
「やっぱり」
「え?」
「あなたは今現在、虐待を受けていないから余裕があるよね。私は違うから。虐待に遭っていて死のうとしてる毎日だ」
「ーーーーーーーーーー」
それを忘れている訳ではない。
生きていてはいけない焦り、死ぬ努力、絶望。
一生消えない。
〈死にたい〉と共にいる。
しかし。
(続く👻)