「犯罪者野放し」
「…にはしない」
「殺すの?」
「殺さない。貴女もその気は無いでしょ」
「それはそうだけど。こっちだけ精神を殺されて、あっちはのうのうと生きている。悪い事をしても許されている人間が普通にいるのがこの世なのか」
はっきり言ってしまえばそうだ。子供の頃は根拠も無く物事を信じてしまっていて、だからこそ失望ばかりする。大人になって擦れてくると意味も無く信じるのは不利になるのでやらなくなり、それでも信じる時は騙されてもいいと端から思っている。
そんな事を貴女には言いづらい。〈大人は汚い〉を、揺るぎ無いものにするだけだ。
「善と悪どちらもある様です。正義と不義、道徳と背徳、いじめられっ子といじめっ子、優と劣など、片方だけだと成り立たないんですかね」
「被害者は泣き寝入りするしかないのか。だったら、ーーーーーーーーーー殺されれば良かった」
「…そうすれば、加害者は公に殺人犯になった」
「そう。なんだけど、肉体は生きていたからあなたがいるんだけどね」
(続く👻)