失った屁理屈③
家に帰って僕はまた言われる。
「屁理屈言うな」
発言の内容の何処が駄目なのかは教えてくれない、ただただ馬鹿にされるだけ。
もう声を出すのを止めようかそうしようか、じゃあ最後にずっと思っていた事を言って、終わりにしようか。
「お父さんも屁理屈しか言えないんだね」
人間の、感情が一気に沸騰する瞬間が見えた途端、思い切り頬をぶたれて身体が飛んだ。直ぐに腹を強く何度も踏まれ、
殺されるってこんな感じかな。
ーーー命は失わなかったけれど、家の中での声を失った。
学校などそれ以外では喋れても家の中や家族といる時は声が出ない。喋らないのではなく出ないのだ。
良かったねお父さん、
これで僕はもう屁理屈を言えないよ。
学校では少し気を使う様になった。酷い事や本当の事を言ってキレられたら困る、殺されるかもしれないから。
思った事をそう簡単に口にしない方がいい、
何かを失ってしまうみたいだ。
🙊 🌋 👻